もう一度オオクワガタを知る
【別室】昨今の虫事情
極太と言う概念を考える!
楽しみ方の傾向をスバリ!
今更ですが・・・・
御存の通りバブル期には「黒いダイヤモンド」と呼ばれ、以前は(1980年代〜1995年)大変な高額取引をされていた幻の虫。現在は菌床飼育などによる幼虫飼育技術が飛躍的に向上し、入手困難であった超大型飼育個体も、形の良い飼育個体も比較的容易に入手できるようになりました。野生個体に関しては今もなお入手困難であることに変わりは無く、それらの個体は人知れぬ場所(開発の手が掛かっていない野山)でひっそりと生活しています。オオクワガタの寿命は成虫で1年〜2年以上・成虫になるまで東北地方では2年〜3年の歳月を要するようです。成虫・幼虫共に越冬(冬眠)することが知られています。飼育管理下では約4〜5年もの長期を生きのびる強い「生命力」を持つ神秘的な虫です。日本産(本土)のクワガタムシで言えば国内最大級の体格を誇り、大アゴで挟む力は日本産クワガタムシの中では最強の部類だと言われます。

学名: Dorcus hopei binodulosus Waterhouse,1874
体長: ♂22〜77mm、♀22〜48mm  
※飼育下では♂83o前後、♀54o前後までが知られている。
分布: 本州ほぼ全土、四国、九州、対馬、北海道(南部) ・中国/朝鮮半島(韓国・北朝鮮)にも分布している模様です。

棲息地域は「極めて局地的」で薄く、有名産地とされるのは、福島県(南会津郡)、山梨県(韮崎市周辺)、大阪府及び兵庫県の県境にある三草山周辺(能勢地方)、佐賀県・福岡県(筑後川流域)等が有名でした。野生個体は近年の著しい環境の悪化と無秩序な乱獲で、極めて減少傾向にあると言えます。現在は趣味による人工繁殖が盛んであり、絶滅の心配はほとんどないと思われる一方、外国産輸入解禁に伴い外国産オオクワガタの放虫による交雑種の心配が大きくなっています。

形態: 体色は♂♀共に黒色で、特に♀は全体に強い光沢があり上翅に点刻列を持つ。大型♂個体では大アゴの内側前方向きに内歯があり、以下個体の大きさにより形状が異なる。大型個体ほど先端よりにあり、内側前方向き、中型個体では中央で内側直横向き、小型個体では根元に内側やや後方向きとなる。また、小型の♂は♀のように光沢が強く上翅に点刻列を持つ。

生態: 樹洞(ウロ)や樹皮の「めくれ」があるクヌギ等の落葉広葉樹に見られる。 主に台場クヌギが有名だが、他にやや開けた場所に立つ単独の大木に居ることが多い。ほぼ夜行性であり警戒心が非常に強い。日中は樹洞に潜むことが多いので、野外で採集するのは極めて困難
東北地方では灯火に飛来する。なお灯火採集(灯りに飛来)が出来た場合圧倒的に♀が多い。成虫の活動期間は5月上旬〜9月下旬頃で広葉樹の樹液をエサとする。産卵を控えた♀は他の昆虫を捕食するなど獰猛な一面がある。♂は縄張りを持っており1本の木で複数頭採集されることは希である。日本の気候に極めて高く順応しており、寒冷地では北海道南部又は東北地方の寒冷地でも繁殖している。幼虫期間も2年又は3年とされ、幼虫は越冬し厳寒期には体内に不凍液を作り体を守る。人工飼育下では約1年で容易に羽化することが知られています。
私を含め、多くの方達が飼育個体に対して望むことは、行き着くところ格好良さではないでしょうか。2000年以前はとにかく幼虫を無事に羽化させ、大歯型のオオクワガタを誕生させたい。その後は産地別の管理を楽しみ、その中で大型個体の作出を楽しむ方が圧倒的に多く、2002年〜2005年にかけては形を楽しむ傾向が強かったように思います。その結果多くのブランド血統と呼ばれる飼育個体が誕生し、極めて太い形状の大腮・頭幅を持つオオクワガタが登場しました。いわゆる「極太血統」です。好みは十人十色とは言え、こと極太個体に関して言えば共通している部分があるようです。まずは大腮の基部(付け根)が太いこと、内歯が太いこと、頭幅が貧弱ではないこと、お尻が細めであり結果、全体としてボディが逆三角形・・・・。現在に於いてもこれは同様の意見であると思います。細く華奢なオオクワガタを好んだり、狙って出すと言う方は限りなく少数派ではないかと思います。そこで考えたいのが極太の概念。上記したようにな極太形状が概ね極太個体として好まれていましたが、最近で様々な疑惑を伴う意見が数多く、そしてまことしやかに語られています。「交雑疑惑」これにつきましては別項にて詳しく述べたいと思います。
2004年頃に考えていたことが本当になっています。
私の考える極太の定義として、例えば70o個体の場合に最低で頭幅25.0o大腮の太さは5.0o、これは十分に太いと思っています。そしてコンスタントには出ないと思います。2002年〜2004年にかけてこの位のスペックは誰もが極太と認識していました。悲しいことに、太い個体・系統がより利益を得られるという事実に、業者個人を問わず誇大表記や画像処理、はたまた血統に関する虚偽や詐称が横行してしまいました。年を重ねる毎に日を重ねる毎に日本産オオクワガタの大腮はより太く表記され、たった2〜3年で5.5oが当たり前の時代に・・・。
そして今や6.0oが当然の印象すらあります。オークションなどを見ると、流石にそこそこの飼育経験者は手を出さなくなり、最近では親虫73o大腮6.2oなどの表記で登場する幼虫など見向きもされません。2004年に考えていたこととは、エスカレートする誇大表記合戦です。個人の方に対しては、趣味と謳うなら利益を得たいが為にと感じられる「誇大表記」や美形や極太という形容をせずとも・・・と私は思います。単なる自己主張と言えばそれまでですし、人が何を言おうと関係有りません。
普通の個体にしても極太個体にしても、人それぞれにクワガタ虫を見た印象(太さや美しさも人それぞれ感じ方が違う)に過ぎないので、私自身はホームページ上で「極太」であるとか「美形」だ!等の表現は極力使わない(多用しない)ように考えています。
私の楽しみ方は以前も今後も変わらずに、オリジナル血統を累代することです。既に1998年〜スタートしておりますが、今更ながら良く続いたと自分のことなのに妙に感心しています。今思えば途中、中国hopeiや台湾のformosanus等も飼育し外国産に興味を持ったのも事実です。
当時、日本産のオオクワガタに限界を感じていましたし(大きさという部分も形質の部分も)今現在のオリジナル血統が自己満足にせよ、ここまでたどり着くことは思いもしませんでした。今思えば、外国産に逃げず日本産を中心に楽しんでこられたことに素直に喜びを感じます。
さて、楽しみ方の傾向・・・などと知ったようなことをコメントするようで恐縮ですが、2005年に行った206名様による「アンケートのご協力」を根拠にして少々。少なくともここをご覧頂いている皆さんは、日本産の太めなオオクワガタに魅了され現在に至っていると思います。オリジナルのオオクワガタ作出を目指し、アウトラインブリードにより次世代以降に楽しみを託しているのではないでしょうか。単に飼育と管理をしていては飽きてしまいますね。既に着手されている方が多いと思いますが、多くの失敗を重ね、そして経験を積んで納得出来る個体を目指しておられるようです。
確かなルートで入手した日本産オオクワガタは、当然ですが次世代も日本産オオクワガタの形で羽化するはずです。お好みの形(スタイル)を見つけ、理想の個体を作出するのが最大の楽しみですし、また醍醐味だと思います。自分の納得の行く系統・血統を楽しむことこそが、「趣味としての本質」だと思う部分です。満足されていない方は、オオクワガタと言うカテゴリーでは色々なサイトがそれこそ星の数ほど(大袈裟かも)運営されていて販売などもありますので、オークションや専門ショップ以外でも良い個体・良い系統が得られるはずです。作出者様のコメント・方向性・評判なども十分参考にして慎重に捜してみて下さい。きっと素晴らしい出会いがあると思います。
現在は入手した個体を累代し選別淘汰の上、そして試行錯誤の末に作出した独自血統(オリジナル)を楽しむ傾向が強いと思います。
2007年以降、どんな楽しみ方が加わるのでしょうか?それとも現状維持で続くのでしょうか?これは誰にも解りませんが、私なりに一つだけ言えることを述べたいと思います。趣味のオオクワガタとは言え、あからさまに希少性を煽ったり、有名ブリーダーに便乗して派手なキャッチコピーを連発してホームページやオークションで購買を募っていた方達は、実は「虫」が好きなのではなく「福沢諭吉」が大好きなのかも知れません。(笑)
そう言う方達は実際にこの2年〜3年で確実に消えています。昨今のオオクワガタブランド血統、及び個人の方のオリジナル血統は、日本産オオクワガタの概念を既に超越しています。これからオオクワガタの飼育をはじめる方は、累代飼育の親虫導入時において個体も販売者も確かな目を養って見極めないと・・・と言えると思います。
顎幅計測について
先 頭
−この項終わり−
放虫についてですが、飼育しきれずに野山に放つ・・・。意図的に自分の知っている地域に増やして放つ不可抗力による脱走など、居ないはずの地域でオオクワガタが発見されたというお話しを耳にします。最近では私の住む茨城地方に於いても数々の報告例があります。採集したと言うことではなく、堂々と茨城県○○市産・○○町産として販売されていたりします。果たして昔から(近年の開発が進む前から)生息していた地域なのでしょうか?にわかに信じることは出来ません。また2000年頃には、千葉県の市川市で71o〜74oの♂個体が数ペア採集された事例もありました。市川市には以前住んでいたことがありますが、居ること自体大変疑問な地域です。2004年頃にはオークションで横浜市産天然個体が出品されていたりと何がなんだか解りません。新宿でとある交差点の歩道にオオクワガタの♀個体が潰れていた・・・の話題もあったように、完全に脱走個体と思われる事例の他、栃木県某所では温泉街?で飼育ケースに相当数の生体を入れて持ち歩く不審な人物のお話しもありました。更に新潟県・福島県では台湾オオクワガタやサキシマヒラタなど、本土に居ないはずの種が採集されるなど明らかに放虫と思われる事例もあります。野外で交雑して云々・・・・は、環境自体が既に崩壊しているので可能性は低いのでは・・・と安易に考えるのはよくありません。
私の考えは産地別より個体差という認識ですが、日本産オオクワガタとて放虫は慎むべきです。不要な個体を差し上げるときにも、放虫は絶対にしないという約束、最後まで面倒を見てもらえるような言葉を掛けるべきと思います。趣味で飼育されている方に対して啓蒙活動とまでは言いませんが、同じ昆虫の飼育を楽しむもの同士野外に放つような行為は絶対に慎むべきだと思います。