オオクワガタに限らずクワガタ類には「個体変異」と言う、同一種の生物の中で遺伝子や染色体に関係なく、環境の影響によって生じた個体の形質変異の幅が非常に大きい生物だと思います。特にオオクワガタなど♂個体では「明確な個体変異」として、あるいは「表現型」として大顎に現れる小歯・中歯・大歯と大きく3つの形があります。念のため ここで言う遺伝は、小歯や中歯や大歯のような大顎の表現型が遺伝するか?では無く、あくまでも♂個体の65o以上で「大歯型」の標準的個体に関しての個体変異です。適切な説明かは別として、普通の当たり前の個体(日本産オオクワガタと同定出来る個体)に対し、突然変異個体・奇形個体・特異個体があります。
@突然変異個体とは、生物体に親の系統になかった新しい形質が突然生じ、それが遺伝する現象でホワイトアイのように遺伝することが知られています。突然変異が生物の体を構成する体細胞に生じたものを「体細胞突然変異」といい、例えばヒトの場合はがんの初期段階になったり、種々の奇形や疾病の原因になったりするようです。これは子孫に伝わることはありません。しかし、これが生殖細胞に起ると「生殖細胞突然変異」と呼ばれて、その突然変異は子孫にまで伝わるようです。
A奇形個体とは、遺伝または発生途中の発育不全によって起きる形態的・機能的異常のうち、「個体変異の範囲を超える」ものを指します。
発育不全などは後天性の為、遺伝しないはずです。♂♀同体など1個体内に雌雄の性が「モザイク状」に同居している個体(雌雄同体など)はホルモン異常と考えられ、次世代への遺伝以前に生殖能力が有りません。
B特異個体とは、他より目立って太いなど、外見上突出(他と比較して異なる個性をもっているさま・独特であるさま)した個体を言います。
ここで言う「特異個体」とは特別に他とちがっている個体のこと。また、そのさま。特にすぐれている個体のことと解釈して下さい。ここでは一般的な飼育個体や野外採集個体などに見られる外見上の普通個体に対して、極太や張出しと形容されるような「突出した個体」を言います。
突出(特異)個体が必ず遺伝して次世代に現れることは希で、都合良く次世代で太い虫ばかりが出ることは無いと思っています。いわゆる交雑疑惑なども多く(そう言われてしまうような)、日本産の特徴を逸脱した個体に関しては、実物を拝見したことも勿論作出したこともありませんのでコメントは控えます。内歯が異常に太くせり上がり、その付き方と向きが大型個体にもかかわらず「中歯型に代表されるような個体変異」は大きな疑問であります。万一にも自分の管理個体でそのような個体が出た場合、即刻飼育は中止する覚悟も必要だと思っています。