ハイブリッドとは→ 1 動植物の雑種。2 異質のものの混成物のことで遺伝学的に異種間交雑です。例えばライガーやタイゴン(ライオンとトラ)・ラバやヒニー(ウマとロバ)などがあります。どちらの♂を交配したかで呼び方が違います。また、植物ではオレタチ(ふざけた命名ですが、オレンジとカラタチ)やポマト(ジャガイモとトマト)があります。本来は種の違うもの同士から誕生した雑種をハイブリッドと呼びます。佐賀産と能勢産を交配するとそれはもうハイブリッド・・・なんて平気で仰る方がおりますし、ハイブリッドは価値がないとか気持ち悪い・・・等、それはそれで人それぞれ感じ方が違うので良いと思いますが、それも日本産のオオクワガタでありDorcus hopei binodulosusに違いありません。ですから、産地にこだわれば産地間で累代すれば良いことです。目的を持って別産地の個体を交配したとしても、上記の意味合いからハイブリッドと呼ばない方が私は自然な気がします。もう一つ外国産との交雑です。和名で「オオクワガタ」の近縁な種ではhopei/grandis/curvidens/ritsmaeがありますが、これらを交雑すればハイブリッドで良いと思います。種としてhopei/grandisはかなり近いと思います。♀の点刻が比較的浅いグループです。curvidens/ritsmaeはやや深く♂の形状を見ても完全に別種と言えると思います。
hopei/grandisのグループ(binodulus/hopei /grandis /formosanus)は簡単に交雑してしまうようです。
 
◆同属内で飼育下で容易に交雑する。 (♀の点刻が浅い)

属 Dorcus 種 hopei  亜種名 binodulus   (日本産オオクワガタ)
属 Dorcus 種 hopei  亜種名 hopei       (中国産オオクワガタ)
属 Dorcus 種 grandis 亜種名 grandis.     (グランデスオオクワガタ)
属 Dorcus 種 grandis 亜種名 formosanus(台湾オオクワガタ)

◆上記の種との交雑は難しい。(♀の点刻が深い)

属 Dorcus 種 curvidens亜種名 curvidens (タイ、ラオス、ベトナム、インド等)
属 Dorcus 種 ritsmae.の各亜種
【別室】個体差・交雑?   −1−
個体差と言う意味は同種の生物集団において「共通の特質の中にみられる各個体のもつ差」を言い、平均(値)に対して「各個体」が示す特徴(数値)のことです。クワガタで言えば10頭なら10頭の個体差があります。厳密に言えば100頭なら100頭それぞれ違うはずです。
サイズ至上主義の時代から、形へのこだわりへと変わってきた中で注目を浴びた太めの個体。以前、
私の認識は極太の産地として九州は佐賀県産でした。佐賀県産は大きくなる・格好良い・太くなる!そして書籍にもそのように紹介されていました。ですから入手するにも当時他の産地に比べ大変高額でした・・・。これは阿古谷産が登場する以前のお話しです。東西に長い日本列島、南の方が発育もエサも温度も全ての面で有利という感覚・考え方でした。これは否定するつもりはありません。また、能勢産(当時能勢は阿古谷も含めた名称となっていました)は顎の形がやや丸みがあるとか太いとか・・・。そして、しばらくして超がつく程のローカル産地兵庫県は阿古谷産の登場と言うことになります。もはや数年前から極太オオクワガタの代名詞的存在になっています。勿論私も阿古谷産とされるオオクワガタを飼育していますので、阿古谷産がどうのこうのと言うつもりは一切ありません。阿古谷が太いというのは多くは専門誌などで書かれたことや、まわりの飼育仲間の話題を真に受けて思いこんでいるだけと思います。
表題の産地別について私の考えを述べさせて頂きますと、現在に於いても例え
山や谷を隔てても産地によって明確な特徴などは無いと考えています。書籍で産地別に特徴があると明言される方、そして産地別を強調して販売している方は、果たして一見し、産地を言い当てることが出来るとでも言うのでしょうか? その昔、個体を見ればある程度産地が解る・・・のようなことを豪語する人がいたとも聞きますがあり得ないとすら思います。産地別特徴(産地別ブランド)は、付加価値をつけて販売する為に強調されたものであると感じます。話が飛びますが、数年前に販売されていた天然個体もWF1と称される個体も商品として多すぎる気がしていました。販売により利益を得る為の差別化と言えるのではないでしょうか。そして言われている地域変異というのは標本の世界のことであり、ブリードされた個体には当てはまらないと思います。まして累代飼育個体に産地別の特徴をあてはめることはナンセンスではないかとすら思います。関東・東北産はやや細いイメージ、関西・九州はそれらに比べて太いイメージと言うのは、気候などの条件である程度納得出来ますが、全ては個体差の範疇であることは今更言うまでもないと思います。
ヒラタクワガタ・ノコギリクワガタなどのように国内の亜種なども含め、ある地域と比べ明確な産地別の特徴と言うものは、日本産オオクワガタには無いのでは・・・と言う考えです。そして個体差を完全に超えてしまったように見える「余りに特殊な形」のオオクワガタは別で「作った人」のみぞ知るところでしょう。不可解なスタイル(75oの大型で中歯系・・・?)や、2004年頃に話題だった緑や青の複眼も然りです。真相は累代により解明出来ると思います。
以前からちょっと太いと「○○血統はタイワンオオが混じっている・・・」などの誹謗・中傷を目にします。5〜6年前からそうですが今も変わりなく語り継がれているようで、個人サイトは勿論のこと業者さんまでも公然とまことしやかに書かれています。多くの場合誹謗中傷の類のようです。
但し、前記した個体差を完全に超えてしまったように見える「余りに特殊な形」のオオクワガタや不可解なスタイルの個体を堂々と販売や宣伝している方は、そのように言われても仕方がないとも思います。前記した誹謗中傷の件は、作出者本人の販売実績もなく昨今の極太ブーム以前に存在していたある系統のお話しです。言いたいことは日本産のオオクワガタと外国産のオオクワガタを交配した場合、どんな個体が羽化してくるのかをコメントしている本人が実験されているのでしょうか?検証もせずに「昔からある噂だけ」で、さも自分で確かめたかのように語ってしまうのは、正直いかがなものかと思います。多くの場合聞いた話で・・・など無意味なものが多く、遺伝学を切り口とした説明ならある程度納得出来るのですが個人レベルで感じる特徴から見て・・・や前胸背板のラインが・・・など、もっともらしい文章だけで終わらせてしまう場合が多いと思います。
そうした個体を累代した上に考察するか、はっきりと自分なりの意見が無いのなら慎むべきと感じます。ハイブリッドや外産交雑を語る以上は具体的に、このような方法で「異種間交配すればこのような形が出る」というような根拠を提示すべきと感じます。
日本産オオクワガタ(ssp.binodulus)は、ssp.hopei /ssp.grandis /ssp.formosanus との間で管理下では安易に交雑すると言われています。以前、興味があり試してみようかと考えましたが、残念ながら?実際には実験は行いませんでした。1度だけですが、1999年のこと未使用・新成虫のラオスcurvidensの♀を単体で譲り受け、交雑実験(curvidens♀×binodulus♂)をしましたが産卵することはありませんでした。(1♂×2♀♀で実験しました)あえてその他の実験を行わなかった理由は、当時hopeiやgrandisを飼育していないのとformosanusは1♀のみしか飼育していないためでした。もう一つには、知り合いで、grandis×binodulus/formosanus×binodulusの実験を実際に行った方がおられた為、既にF1での結果が出ていたからです。尚、既に結果がわかっているので今更実験する方はいないと思いますが、雑交で生じた個体が市場に出回るのは深刻な問題もあります。万一同様の実験をする場合この点には十分な配慮をもって頂きたいと思います。
昨今極太と形容される一部の日本産個体ですが、多くの標本や書籍から見ても全体の幅、大腮、頭幅、前胸部が変化しています。これを何かおかしい・・・何かやっている・・・と仰る方も当然いらっしゃいます。余りに突出した個体に関しては不謹慎ですが、正直私もそう思ったりします。上記したように道を踏み外した行為においては、一代限りでは見えないものの累代飼育をした場合、次世代もしくはその次の世代でおおよそ解ってしまうことは述べました。さて本題の極太です。純粋な日本産もこの4年〜5年の間飼育下で当然太い個体のペアを選んで交配するのですから、太くなる遺伝子同士がホモとなる確率が高くなり太め個体が出現しやすい思います。菌床や飼育設備・環境の向上、飼育人口の増加を考えても太いものが出ることに「これと言った疑問」はありません。ペットである犬・猫・金魚や鯉に熱帯魚、家畜の馬や牛や豚にしても、原種である自然繁殖を繰り返していた、まさに自然界の生き物を人間がある目的を持って、長い月日を掛けて「飼育下にて改良」してきたことは周知の通りです。クワガタだけ4〜5年でこんなに太くなるのはおかしい・・・自然にそう考える人も居るかも知れません。考え方の一つとしては、例えば国産オオクワガタなのに90oもあるとか、黒いはずの体が赤かったりツートンカラーになったり、大腮が次元の違う程に発達したとします。それはかなりおかしな話ですが多少顎が太くなったり、ボディが太くなったりするのは何もおかしいことではないはずです。飼育者が意図的に太い個体を目指したことと、栄養豊富な菌床飼育と温度管理・徹底した血統管理と言う過去には成し得なかった事例の集大成ではないでしょうか?遺伝的観点で言えば、ひと昔前の専門書籍や標本に「WhiteEyeの固定されたオオクワガタ」があるのでしょうか?居たのでしょうか?
 
肯定的に「極太が野外で発生するのか・なぜ極太が居ないのか」を考えたいと思います。野外では太い♂が太い♀と交尾する確率は極めて低く、例え♂♀のいずれかが太くても「普通の個体」と交尾する機会のほうが断然多いと推測出来ます。普通の個体が圧倒的に多いのですから、そう考えるのがごく自然です。結果、当然のように「優勢であると思われる普通の個体」しか生まれませんし、必然的に野外採集個体(ワイルド)の多くは太さという点で飼育個体に劣ります。しかし太い個体と交尾の機会があれば、劣性遺伝子として残されて、次世代には「太い遺伝子を劣性に持った」個体が誕生しその後に出会う機会があるでしょう。ですから太い個体が誕生する可能性が全くないと言うことは言えません。推測として太くなる遺伝子自体に生殖/生存に対し悪影響となることは無いので、遺伝子はそのまま受け継がれるでしょう。飼育個体を例にしても極太が少なく、その発現率を高めるのが困難という事実を合わせて考えるなら極太である遺伝子は殆どの場合「劣勢」なのでは・・・?と考えられます。肯定的に考えている方なら同様に考えておられるのでは無いでしょうか。結局は「何故極太が自然界にいないのか!」と言う点で考えた時、(1)極太遺伝子は劣性に働く (2)野外で極太同士の交配は希 (3)「簡単に採集出来るような生物」ではない になると考えられます。飼育個体でも極太を安定して出すことはまさしく至難の業です。自然界では厳しい環境と自然淘汰により、極太が誕生することは更に難しいのだと思っています。 極太の顎・体が生存競争に有利な体型なのか・・・なども合わせて考えると、更に奥深く興味は尽きません。
ハイブリッド?と交雑種
私が自ら全てを実験しておりません。本来多くを語る資格はありませんが、ご理解頂ける方は続きをお読み下さい。
仮に国産オオクワガタに台湾オオクワガタや中国オオクワガタを交配したとすれば、遺伝学的に考えると日本産・外国産の2つの遺伝子はなんの変更も受けず混り合わず(遺伝子は消滅したり絵の具のように混ら無い為劣性遺伝子として覆い隠される)次世代にふたたび表れるはずです。この考え方はメンデルの法則で言う対立遺伝子の分離の法則です。(全てをあてはめるのは少し無理がありますが・・・) 
F1には日本産/外国産が50%づつ混じる「混血」個体となり、中間の特徴を持った個体が誕生するはずです。(現に中間個体が誕生しているようです。)F2以降累代を続ければ劣性の「いずれかの形質」が現れ始め、極めて日本産的個体/中間の個体/極めて外国産的個体が、無作為に任意に出現するのではないかと考えています。聞いたお話では、前胸側縁は完全に中間形質を示す個体が出るようです。
F2以降の累代ではF1のときのように、50%づつ混じるのではなくランダムに組み合わされるので、例え中間個体同士でもF3以降も何が出るか解らない上、偶然に太い個体が出ても固定などは不可能なはずです。ですから、幼虫・成虫に限らずそのような個体を入手してしまい累代した場合、予想しない特徴の個体が出現し中間個体は勿論のこと、極端に言えば1ペアから外国産と日本産両方が出てしまうでしょう。中間個体を見た場合、古くから日本産を飼育されている方、及び多くの日本産をご覧になってきた方であれば容易に区別がつくのではないでしょうか。
純日本産の太い個体と疑惑を感じるそれらの個体を何処で線引きするかが非常に難しく、感じ方も様々であることも確かではあります。いずれにしても上記のように何代か累代すれば、どう見ても日本産の特徴が薄い個体が羽化してくるのでは・・・と思います。怪しい個体・血統は累代を続ければ判明するでしょう。言葉は悪いですが心ない一部の悪徳ブリーダーや悪徳業者とは違い、遺伝子は嘘をつかないのです。
実験したり専門的な著書も中途半端にしか読んでおりませんので、これらのような発言は良くないと思いますが、このような行為を販売目的として行うとすれば絶対に許されることではないと思います。最後は飼育者の志の問題であると考えます。同じ時間と同じ費用、そして同じ手間がかかるのですから「興味だけでの実験」は無意味ですし慎むべきです。私も私の飼育仲間も外国産と交配しなければならない理由も必要もありませんのでこの話題はここまでと致します。
先 頭
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