2006年5月現在、当方看板個体の特別能勢六七一式(SP-Nose671)の誕生までのお話しを少々ご説明させて頂きます。
【祖先は68oの普通個体】
この個体の祖先にあたる虫は、遡ること1999年の初夏に1998年4月羽化の「大阪府豊能郡能勢町垂水産F3」♂68o/♀43oをペアで入手したことから始まります。当時所持していた佐賀県・岡山県・山梨県・千葉県の各産地の♂個体の中で、68oながら、「明らかに太かった」と記憶しています。その当時は私自身も飼育仲間も、顎の太さを測る習慣はありませんでした。体長を計るためのノギスはありましたが、顎の太さなどは計ろうと思ったり、また一度も計ったことはありませんでした。今振り返えれば、例え計っていたとしても太くて4.8o〜4.9o程度あるかないかだったと思います。(当時68o顎幅4.8〜4.9oは十分太かったのか勝手に思っております)
【初代太め個体は突出系?】
翌2000年に幼虫取りをし、2001年4月にやたらと太く見える72o♂F4個体が誕生したのでした。これが初代太め個体で、同時に飼育していた他の産地に比べて厚みも顎の太さも全てが太く感じられ、菌糸瓶から取り出したときは75〜76oは完全に超えているな!とすら感じました。これまでマット飼育で細い個体(普通の個体)しか出せず、スタートして3年目の菌床飼育もまだまだ手探り状態の時期でした。マット飼育個体より2回りも太く感じ、同時にサイズの近い兄弟個体と比べても完全に1回り以上太く感じました。特に前胸背板の発達が著しく、前胸幅は75o〜77o以上の個体と比べて見劣りしない程でした。1999〜2000年は外国産のオオクワガタが人気急上昇中であり、外国産とのハイブリッドなのでは・・・などと有り難くないご意見まで頂戴しましたが同腹兄弟も当然ですが全く普通の個体でした。上記個体はいわゆる突出個体であったと思います。勿論私が管理してから4世代目となる2006年現在でも、当然普通の日本産オオクワガタの特徴を持つ個体が羽化しています(^^ゞ
【二代目は期待せずして誕生】
一昨年の看板個体だった2003年度羽化「Special-Nose-T1」は、前出の突出系72.0oを使用して同産地で別ラインで40oのあまり期待してなかった♀から作出した個体でした。実は幼虫時800t菌糸ボトル1本と1400t1本で交換2回のみと、そしてその後はほったらかしにしておいた程でした。印象としては最終交換時20グラム程度と記憶していた程度です。これが二代目太め個体で体長以外は完全に親超えを果たした私のお気に入り個体でした。ちなみにサイズは68.5o/顎幅5.35o(5.55o)/頭幅24.5o/前胸25.8oという初めての数値でした。
「Special-Nose-T1」の命名由来は、スペシャル=特殊[特異]な・特別な と言うことで、私にとってまさに「特別」な能勢産のオオクワガタであることと、産地名である垂水の「T」と私の名前Takashiの「T」を頭文字にしてT1としました。1は過去最高でナンバー1という意味でした。
【負け惜しみと葛藤】
この時、別の♀から羽化した個体群と比較して初めて♀の重要性に関して身をもって理解することができました。それまで累計千頭超えを羽化させましたが、60o台後半で顎のここまで太いものは過去に有りませんでした。ましてや70o前半で顎幅5.5oなぞどう考えても絶対に出るはずがない。逆立ちしても日本産では無理(ホペイかタイワンオオとクロスしたのでは)と、正直を言えば「不謹慎な負け惜しみ」あるいは嫉妬・僻みにも似た気持ちがありました。このころ巷ではブランド血統の人気が鰻登りで、幼虫1頭が数万円という異常事態が起こっていました。手持ちの顎幅5.35oでは飽きたらず、親虫の顎は6.0oと言うような無駄な幼虫買いをしていました。大きな間違いに気づくのは2年後の2005年でした・・・。
【三代目に血統を見る】
2004年に期待の二代目ペアをセットし、6月下旬から8月にかけてブリードを開始しました。翌年2005年度羽化「Sp-Nose-T1/Junior」は
本命ラインにて♂15頭のうち5頭の良型個体が出現し、困難だった顎幅5.0oオーバーをいとも簡単に記録しました。残した親虫候補にはそれぞれ体長を表す数値を名称とし、Nose-T1/jr705とNose-T1/jr671としました。2大看板個体として前ホームページにUPしました。こうして無事に三代目となる太め個体が誕生し血統と認識しても差し支えない能勢産独自系統が確立しました。幼虫期間が短くても、菌床が優れたものでもなくとも親レベルもしくはそれ以上が出たと言うことでも確立したと言って差し支え無く感じました。ちなみにスペックを・・・。
Jr705は体長70.55o/顎幅
5.41o(5.65o)/頭幅 25.25o/前胸 26.85oの太いボディと太い大腮、親を「完全に超える」数値でした。
Jr671は体長67.10o/顎幅
5.25o(5.45o)/頭幅 23.00o/前胸 24.55oという小さいながらも張り出しのきつい「突出個体」でした。
前者が4月11日羽化で後者が3月14日羽化でした。(Jr705は2006.3月・Jr671は5月に越冬の失敗と体力消耗で落ちてしまいました)
【四代目で確信を得る】
2005年のNose-T1/jr705とNose-T1/jr671とは別にそれぞれの親虫である二代目「Special-Nose-T1」は、娘に当たる個体とペアリングして固定化を目指しました。いわゆる戻し交配です。一方看板個体のJr705とJr671の次世代をそうそうに見たいが為に、2005年6月〜8月には早期羽化個体の同系統同腹♀とペアリングを開始。2005年の7月〜9月にかけてJr705で10頭前後、Jr671では40頭前後幼虫を得ました。これらが翌2006年3月頃から羽化を始め、遂に待ちに待った四代目が誕生!2006年5月30日現在でJr705/Jr671/戻しのNose-T1/Rの3系統それぞれ数頭初代から継承される特徴と太さを持ち羽化してきました。全ての羽化個体を確認していない今現在では、確率的な部分は表記出来ませんが、確実な遺伝子の存在とその確信を得ることが出来ました。1998年4月から2006年5月の長きに渡り、五世代を管理しその結果が出始めたという事実を思いかみしめています(^^ゞ